民法改正により18歳で成人になったら何ができるようになるのか?
何は変わらないのか?わかりずらいですよね。
まとめるとこんな感じです。
- 親の同意なしで結婚できる
- クレジットカードを作る
- 賃貸物件を借りる
- ローンを組んでの購入契約
- 携帯電話の契約・解約
- 消費者金融の利用
- 整形外科手術の契約
- 10年用パスポートを取得する
- 代理人なしで民事裁判を起こす
- 国家資格の取得年齢引き下げ
- 性別変更申請をする (性同一性障害の場合)
- 日本人に帰化する
お酒とタバコは20歳からなので変わりません。
18歳成人になって変化することのよくある疑問・質問をまとめました。
18歳成人何が変わるのかQ&A
18歳で成人になったら何ができるようになって、何は変わらないのか?
詳しくご紹介します。
できるようになることは?
令和4年(2022年)4月1日から改正されます。
- 親の同意なしで結婚できる
- クレジットカードを作る
- 賃貸物件を借りる
- ローンを組んでの購入契約
- 携帯電話の契約・解約
- 消費者金融の利用
- 整形外科手術の契約
- 10年用パスポートを取得する
- 代理人なしで民事裁判を起こす
- 国家資格の取得年齢引き下げ
- 性別変更申請をする (性同一性障害の場合)
- 日本人に帰化する
一人暮らしの賃貸やスマホも自分で契約ができる
これまで親の同意が必要だった携帯電話の購入やひとり暮らしのアパートの賃貸、ローンを組むなどの契約が親の同意なしでできるようになります。
証券口座やクレジットカードも作れちゃう
親の同意がなくても、証券口座を開設できたり、自動車保険に加入したり、クレジットカードの発行も可能になります。
10年パスポートの申請ができる
これまでは20歳未満は5年用のパスポートまでしか発行できませんでした。
更新回数が減るのは楽になりますね。
整形や脱毛サロンの親の同意書が不要に
整形や脱毛サロンの契約にも、親の同意書が不要になります。
それだけ自己責任ということになりますので、契約は注意深く行ってくださいね。
女性の結婚可能年齢が変わる
唯一、年齢が18歳に引き上げられたのが「女性の結婚」です。
16歳から男性と同じく18歳へ変化しまう。
その背景として、昔に比べて女性の高校への進学率が上がったこと。
さらに、経済状況などから16歳ではまだ成熟していないという理由があります。
国家資格の取得年齢引き下げ
特定の職業の資格を取得する
- 公認会計士
- 司法書士
- 社会保険労務士
- 医師・獣医師
- 社会福祉主事
- 水先人養成施設
等の講師の資格が18歳から取得できるようになります。
これによって、優秀な人材が2年早く世の中で活躍できるチャンスが広がりますね。
犯罪などの少年法も変わる
18歳で成人とみなされる世代となる18歳・19歳は「特定少年」となります。
保護対象とはなりますが、17歳以下とは一部取り扱いが異なってきます。
原則としては、家庭裁判所から検察に送り返す事件の対象になる範囲が広がります。
起訴された場合、顔写真や実名報道も可能
補導されなくなるの?
補導されなくなるのか?という点ですが、曖昧な部分がまだあるようです。
18歳でもまだ高校生ならば補導はあり得そうです。
親の同意なくホテルへの宿泊などもできるようになりますが、家出の捜索や飲酒、17歳以下を連れているなどは、補導もしくは職質の対象になるのは変わらないと思われます。
後述しますが、飲酒もタバコも20歳からなのは変わらないので、節度ある自己責任で行動しましょう。
海外での宿泊は親の同意書や同行は不要?
日本国内では、18歳から親の同意が不要となりますが海外旅行では、渡航先の国やホテルの規約に準じます。
これは、国によって成人とみなす年齢が異なるからです。
米国・ハワイ・グアム・サイパン・パラオ |
17歳以下:成人の同行が必要 18歳以上~21歳未満:保護者の同意書が必要 |
韓国 |
18歳以下:成人の同行が必要(ホテル毎の規定有り) 18歳以下の男女での同室で宿泊する事が法律上で禁止されている 家族でも証明書等の提出が必要な場合がある |
台湾、香港 |
18歳以下:成人の同行が必要(ホテル毎の規定有り) |
シンガポール |
21歳以下:成人の同行が必要(ホテル毎の規定有り) |
18歳で成人になっても変わらないこと
お酒やタバコは20歳から
民法改正で18歳から成人となると、気になるのがお酒です。
自治体によって18歳で成人式を行う場合、仲間とワイワイ飲酒をしたいと思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、残念ながらお酒やアルコール類、喫煙については成人が18歳に引き下げられても20歳になるまで飲酒はできません。
健康への配慮が主な理由のようです。
競馬などのギャンブルも20歳から
これまで同様、18歳で成人になっても20歳までできない公共ギャンブル
- 競馬
- 競艇(ボートレース)
- 競輪
- オートレース
ギャンブル依存症を懸念して、20歳からのままということです。
大型・中型自動車運転免許の取得
大型と中型自動車運転免許の取得もこれまで通り、20歳になってからとなります。
18歳成人・税金や年金など納税はどうなるの?
国民年金保険料
納付義務は従来通り、20歳からとなります。
個人住民税
概算ですが、18歳・19歳で仮に月収17万円の収入があって、年収205万円以上のだった場合。
今までは住民税が掛かりませんでしたが、年間9万円前後の納税が必要になる計算となります。
未成年者控除
法定相続人として相続を受けた際の、相続税額からの控除額は
これまでは、20歳未満;「10万円×20歳に達するまでの年数」
18歳成人に改正後:「10万円×18歳に達するまでの年数」
に引き下げられます。
なので、18歳で相続した場合は10万×0年=0万円の控除となります。
相続時精算課税制度
60歳以上の贈与者から、上限2500万円までの贈与額については
20歳以上の推定相続人または孫から、18歳以上の推定相続人または孫からへ変更になります。
直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例
直系の祖父母、父母から子や孫への贈与は、特別な税率での計算が適応されています。
贈与を受け取る側の年齢が「20歳以上」から「18歳以上」へ引き下げられます。
今までよりも2年も早く相続対策できるようになります。
18歳で成人したら扶養から外れるの?
親の扶養義務(民法877条)は子供の年齢で決まっているわけではありません。
子供が経済的に自立しているかどうかです。
両親が離婚をする場合、18歳成人は未成年者ではなくなるので親権者を母親か父親か定める必要がなくなります。
養育費も20歳を基準に算定されていましたが、今後も大学進学の費用などを20歳まで請求することは可能だそうですが、双方の合意が必要です。
18歳成人の民法改正のメリットとデメリット
18歳成人へ民法改正はいつから?
令和4年(2022年)4月1日以降、民法改正により18歳以上が「成年」とみなされます。
生年月日 | 新成人となる日 | 成年になる年齢 |
~平成14年(2002年)年4月1日以前 | 20歳の誕生日 | 20歳 |
平成14年(2002年)4月2日~ 平成15年(2003年)4月1日 | 2022年4月1日 | 19歳 |
平成15年(2003年)4月2日〜 平成16年(2004年)年4月1日 | 2022年4月1日 | 18歳 |
平成16 年(2004年)年4月2日以降 | 18歳の誕生日 | 18歳 |
18歳で成人式を迎えるのは何年生まれから?
18歳で成年となる世代の成人式は、市区町村毎に18歳時と20歳時のどちらで開催するかが分かれています。
役場からのお知らせを確認してくださいね。
2002年4月2日~2003年4月1日生まれの方は、19歳で成人となりますので20歳になってから成人式を行うところが多そうです。
2003年4月2日生まれ以降は18歳で成人となりますので、成人式の開催については各役場へ確認してくださいね。
成人年齢引き下げの理由は?民法改正の狙いは何?
世界基準に合わせるというのが主な狙いだそうです。
世界では多くの国で18歳で成人とされています。
国 名 | 成年年齢 |
アメリカ合衆国 | 18歳(37 州)19歳(2 州)21歳(1 州) |
イギリス・フランス・イタリア・ドイツ | 18歳 |
カナダ | 18歳(6 州)19歳(4 州) |
大韓民国・アルジェリア | 19歳 |
ニュージーランド・台湾 | 20歳 |
アルゼンチン・シンガポール | 21歳 |
参考:世界の成年年齢・法務省HP他
成年となっても、養親となれる者の年齢や婚姻適齢、選挙権などの年齢が異なる国もあります。
日本では、成年年齢を18歳にすることで、若い層の社会参加を促したいことも狙いに含まれています。
メリット・どんな利点があるの?
税収が増える
18歳でもう大人とみなされるので、就職率が上がることが期待されています。
働く人が増えることで、税収も増えるのではと言われています。
自由度
親の同意が必要なくなることが増え、自由度が増します。
必ずしも親子関係が良好ではない家庭もあります。
また、親に負担をかけたくないという想いから早く自立をしたい人にとっては出来ることが増えますよね。
デメリット
「成人」=「自立している」ということになります。
多くのことを自分で決められる反面、自分で責任を追うということにもなります。
例えば、これまでは何かを契約してしまって後悔してしまった時、「親の同意を得ていなかったから」という理由で、クーリングオフが適応される場面もありました。
最悪の場合、大きな負債やトラブルに巻き込まれても自己責任ということになるので、注意しましょう。
未成熟のまま成人となることで、社会的モラルの低下になるのではという意見もあります。
いい加減が大人が増えるという側面も懸念されています。
18歳成人は賛否あり!どんな反対意見があるの?
反対意見で一番多いのが、「18歳ではまだ未成熟」だという意見です。
静岡県の沼津東高校の現役高校生210人にアンケートを取ったところ、65%が反対意見だったそうです。
3年生に至っては反対は77%もありました。
その主な理由は
- まだ働く力がないのにまだ自覚が持てない
- センター試験の時期に成人式はイヤだ
- 自信がない・まだ未熟だから
- 飲酒やタバコをしてしまう人が増えそう
などが挙がっていました。
当事者達の意見はどれも、納得できるものですね。
その親世代も、まだまだ18歳は未熟であるからと心配している人も多いようです。
さいごに
大きく変わる制度ですので、18歳で成人する人にとっては不安に思う部分や楽しみな部分もありますよね。
すでに成人している世代にとっては、18歳で社会活動に積極的に参加してくれる若者が増えることで、受け入れる側の理解や体制も見直す必要がありそうです。
飲酒やタバコは18歳はまだダメ
契約系は自己責任
ここはしっかり頭に入れておかないといけないですね。